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2006年11月30日 (木)

僕が落語にこだわる理由(未整理版)

 まずはプライベートな話を整理させて欲しい。
 プライベートな、というのは自分の内面の話だから、あんまり論理的ではない。論理以前の情動や思い出のかけらを、できるだけ正直にかき集めてみる。
 これから落語2.0論を語る前に、「それを語る自分」というのを、まず晒しておくのが当然、と考えるからだ。

 大学で教える以前、人前で話すのが苦手だった。
 
 もちろん打合せや会議程度なら平気だけど、たまに舞い込む講演の仕事は引き受けても失敗ばかり。「やらなきゃよかった」と毎回、泣きそうになりながら逃げ帰った。これ、たとえ話ではなくて本当の話。
 そんな自分が今、プチとはいえ「落語家」を名乗っているのは不思議な気がする。
 
 小学校のときに鳥羽へ修学旅行に行ったとき、友達と割り勘で占い師に運命を見てもらった。「あんたは落語家や」と老婆は言った。僕は信じなかった。ついこの間まで忘れていたぐらいに。
 20代に新宿で、30代に吉祥寺で前世を見てもらったときも「江戸時代の噺家」と言われた。「過去か未来か、どっちやねん」と笑って忘れていた。
 
 落語は好きだ。僕が中学生の頃、米朝が「地獄八景」を復活させ、大学生のときにSFファンの間で枝雀ブームがあった。僕は当時自分がやっていたSFイベントに枝雀を呼び、1500人の前でSRをやってもらった。
 「こんなリアクションのいい客筋ははじめてだ」と感動してもらい、僕は落語とSFの橋渡しが手伝えたかと内心うれしかった。
 
 はじめて「と学会」の例会に参加したとき、「これは落語ではない落語会だ」と直感した。会員たちの発表はトークも冴えて内容も面白く、色あせていた当時の落語に比べて「新しい面白さ」にあふれていた。
 でも、どんなに面白くても、と学会の会員が話すことは落語ではない。
 そのうち「トンデモ落語」という新規ジャンルができたけど、あえて定義するなら「落語の中の過激派の面白さ」であって、と学会の持つ「新しい面白さ」とはやはり違う。
 
 いつしか僕は大学の先生になって、毎週学生に話をする立場になっていた。
 
 東京大学の教養学部。
 立教大学の社会学部。
 そして大阪芸術大学。
 
 それぞれの大学ごとに話し方や内容や考え方まで切り替えて、僕は話をした。いつしか「人前で話す苦手」はなくなっていき、飛び込みの講演でも30分程度なら場を持たせることができるようになった。
 
 今年の5月と7月。新宿ロフトプラスワンで「オタク・イズ・デッド」と「世界征服入門」というワンマントークをしたときに、僕は「準備は終わったな」と感じた。
 8月に入る頃、僕はすでに「落語家になろう」という決意を終えていた。
 
 話が繋がらない?
 だから内面の話だから、これぐらいしかないんだ。すまん。
 「いつかやらなきゃ」というのと、「今のままじゃダメじゃないか?」という危機感。
 それぐらいしか自分ではわかんないや。
 

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2006年11月29日 (水)

Scale Over Troubled Water(悪魔の体重計2)

(ひとつ前の日記からの続き)

 朝、おしっこをしてから、まず旧体重計に乗る。他の体重計に比べて、僕に甘い数字を出してくれるサービス体重計だ。
 外国製のガラス張りの体重計。吉祥寺の西武ロフトに並んでいるときから「こういう体重計がある生活もいいなぁ」と思って買った思い出の品だ。

 でも、彼女との甘い生活も今日で終わり。彼女が囁く優しい数字は僕を甘やかしダメにする。現実を見れなくしてしまう。
 そっと彼女に乗ると、しばらくためらったあと彼女は答えた。
 「すごい、斗司夫さん!今日は89.5キロよ!」
 やった、ついに80キロ台突入だ。
 ありがとう。
 でも、本当は違うんだよね。
 お前のおかげでずいぶん元気をもらったよ。最後の最後に「ほら、やったね!ついに80キロ台ですよ」って僕を勇気づけてくれた。

 タニタのいちばん安い、昨日買ったばかりの新体重計に乗る。設定時に自分が住んでる地域まで入力する最新型だ。なんでも地域による地球重力差まで補正してくれるらしい。コリオリ力?重力の等ポテンシャル面?高校の地学で習った言葉が頭を過ぎる。
 体重センサーは一瞬で、悪魔の真実を表示した。

 90.1キロ
 
・・・よ、よがったぁぁぁぁぁ~~~

 体脂肪率も前の測定器よりはずいぶんと減っている。
 ・・・ちょっと待て。
 じゃあ大阪のホテルで量った42%などという聞くも汚らわしい数字はなんだったんだよ!と思わなくもないけど、とにかく本当の体脂肪率がもっと低かったというのはめでたい。

 たぶん今週中には「本当の体重」も80キロ台に突入できるだろう。

 洗面台の上の、めったに使わない七輪やおでん鍋やストレッチボールの空気入れを入れている棚に、彼女はひっそりと納まった。
 ガラスの体重計、ありがとう。ごくろうさまでした。
 また僕がリバウンドして現実が辛くなったとき、周りがみんな敵に見えたとき、僕が通りをさまよっている時に、逆巻く水に架ける橋のようにその身を横たえておくれ。

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悪魔の体重計

 ちょっと事情があって、二日分まとめて日記をUPする。
 まず、以下は昨日の日記、つまりおとついの出来事だ。

 以前からうちの体重計、怪しいとは思っていたんだよね。
 だって大阪のホテルに泊ったときに体重量ると3キロぐらい平気で違うもん。
 僕は奴のことを「サービス体重計」と呼んでいた。量るときに「旦那、3キロばかしサービスしまっせ!」と言われてる気になるからだ。

 ま、安物の体重計というのは30~80キロあたりが正確に量れるようになってんでしょ?とか気楽に考えていた。いや、安物ではないか。センサー以外は全部ガラスで透明のオッシャレ~な体重計だから、けっこう値も張ったような気がする。
 とりあえず、多少の狂いがあろうが「ちゃんと減ってる」ことさえ確認できたら、別に正確な数値は気にしなくてもいいや、とかごくいい加減に考えていたわけだ。
 ダイエットをはじめた時、うちのサービス体重計で量った僕の体重は107キロ。ヒルトン大阪で量ったときは110キロ。
 いま現在、うちの体重計で僕は90.1キロ。先週、大阪で量った時は93キロ。
 ずっと同じ体重計に乗ってる限り、もし狂っていてもおんなじだもんね。17キロ減ったことにはかわりがないし。
 とまぁ、呑気に構えていたわけ。

 でも、現在のように100グラム単位で一喜一憂する生活をしていると、やはり「正確な数値」が気になる。
 おまけに僕が今使っている体脂肪計はいちばん旧式の両手で持つタイプ。僕は肩から胸までが比較的肉が落ちやすい体質なので、こんな体脂肪計で量っても本当の数値は出ないんじゃないか、と気になりだした。
 やはり、アレじゃないですか?オムロンの両手でセンサーをぐーっと引き出すタイプ。あれだったら両手から足の裏まで全部をスキャンするから、体脂肪率だって正確じゃないの?

 そう思ってですね、ついに今日いきましたよ。ラオックスに。
 「やっぱりオムロンの高価な奴は正確なんですよね?」と食らいつく僕に店員さんはいたってクールに答えた。
 「いや、足の裏だけでも両手センサーでも体重や体脂肪量る分には変わりませんよ」
 「え・・・」
 「いろいろ複雑な計測するんだったら高価な奴がいいけど、体重と体脂肪しか量らないんだったら、高い機種も安い機種も同じセンサー使ってますから」

 が~~ん・・・

 まぁうちの体重計がサービス過剰、いや狂ってることだけは確実なので、とりあえず体重と体脂肪を同時に量れる一番安い3600円のを買った。
 「これで充分ですよ。高級機で量っても数値変わりませんから!」
 まるで商売っ気のない店員にタニタの一番安い機種を持たされて、僕は店を出た。

 さて、恐怖は明日の朝だ。
 僕は毎朝、起きてトイレに行ってから体重を量ることにしている。それが一日で一番、からだが軽くなる瞬間だとしってるから。
 だから今、新しい正確な体重計に乗ろうなんてムチャなことは考えない。たぶん正確な、考えるのも恐ろしい数値がでてくるだろうから。
 体脂肪だって、こないだ大阪のホテル据付の体重計で両足の裏で量ったら、42%などという口にするのもおぞましい数字が出てきたではないか。

 明日の朝まで、とにかく逃避だ。
 明日の朝、念のため二つの体重計で量ってみる。二つの体脂肪測定器で量ってみる。
 明日以降、もう一度イチからやり直しになるかも。
 今度は一日1200kcalとかにならなきゃいいけどなぁ。

(次の日記に続く)

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2006年11月28日 (火)

チョコは2個まで

 明治のメルティキスというチョコを2個食べた。
 生チョコ風味で、2個で50kcal。
 ああ、やっぱりチョコは美味しいなぁ。ダイエットを続けていると、以前のようにジャンクフードなどにはあまり食欲がわかなくなってきた。でもチョコは逆にものすっごく美味しく感じるようになった。

 ・・・ということを人に言うと「よく2個でやめられますねぇ。意志が強いんですね」とか言われるんだよね。
 いやいや、僕は意志が弱いです。
 意志が弱いから、「意志を使わずに」2個でやめる方法を採用してるわけで。

 ダイエットのコツというのは、「精神論を排除して、具体論に切り替える」ことだと思う。
 どういうことかといえば、「2個でやめられるような強い意志を持つ」なんてことは早めにあきらめて、もっと工夫次第でどうにかなる手練手管を考えればヨロシイ、ということ。

 たとえば僕だって、ポテチをひとつかみだけでやめるのは難しい。でも、よくよく自分を観察してみれば、「止まらなくなる」のは絶対に食べだしてから、なんだよね。食べる前は「これでストップする」と堅く心に誓ってるわけでありまして。
 
 ここまでわかればもう簡単。
 「物理的に、ひとつかみ以上食べられない状態」に食べる前にもっていけばよろしい。
 
 具体的に言うと、僕はポテチの袋を空けたら、一番食べたいのを5~10枚選んで、残りは流し台にぶちまけて上から水をかけます。
 流し台がないときは、ただ単に残り全部をゴミ箱に捨てるのでもOK。
 こうすれば、「絶対にそれ以上食べられない」という状態が完成する。逆に言えば、そこまでしないとやめられないほど僕らの意思は弱いし、その「弱さ」を前提にしないと、やはり無理がでてくるんじゃないかなぁ。

 ちなみにメルティキスの場合は、二つだけ取り出して、残りは冷蔵庫の野菜室の奥に突っ込んで、3分経ってから食べました。 

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2006年11月27日 (月)

サイゾー連載と「プラダを着た悪魔」

 今回のサイゾー連載は「サンタクロースとイジメ」。
 イジメ問題に関して考察するんだけど、普通の切り口でやっても芸もないし進展もないので、思いっきりアクロバティックな切り口で書いてみた。
 書いてから思ったけど、これ1500文字で収まる問題じゃないね。先週の大学講義で60分ぐらいかけた話のアウトラインのみ、書いた感じ。
 まぁサイゾーの連載は「読んで面白い」よりも、その切り口がいかに新鮮でジャーナリスティックかを問われている変則ルールだから、これもいいかな。

 ちょっと頭が疲れたので、伊勢丹地下に自然食バイキング食べに行って、そのあと「プラダを着た悪魔」を見てきた。
 「ウォール街」の女性版、という感じかな。オシャレな画面にため息ついて笑って、最後にちょっとぐっと来て、という出来のいい映画。値段分は充分、面白いよ。途中で眠くならなかったし。

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2006年11月23日 (木)

ダイエット食事法

 何度か書いてるけど僕のダイエット法はごく簡単。
 「毎日1500kcalの食事をする」というだけ。
 運動などしてないけど、ちゃんと脂肪も落ちてる。
 
 「食事制限も運動も」とバランス取るなんて難しいこと、僕には絶対に無理。
 「これだけ運動したんだから、ご褒美としてこれぐらい食べてもいいだろう」とか考えるに決まってるもん。
 目標はひとつ、またはできるだけ少なく絞り込むこと。
 それが挫折しないコツだと思う。
 
 「一日に1500kcalしか食べられないんだったら、焼肉とかトンカツとか無理じゃないの?」とはよく聞かれる。
 とんでもない。僕は焼肉もトンカツも食べてますよ。
 以下の考え方で、僕はカロリーの高い、つまり美味しいものを食べている。
 
 まず、「一日あたり」というのを考えてみよう。
 「一日あたり」というのは地球の自転の一周期・24時間に合わせただけで、実はなんの意味も根拠もない。だから毎日1500kcalなんだから、三日で4500kcalという意味に受け取ってまったく問題は無い。
 つまり一食で2000kcalを越えちゃった場合は、残り2500kcalで三日過ごせばいい、と考えてかまわない。
 
 もし、すっごく食べたくてカルビ5人前とかビールがぶ飲みとかした場合は、それのカロリー量を正直に算出する。このあたりのサイトが算出の参考になるだろう。
 http://www.dance.ne.jp/~sirahase/dish/kcal/calorie_table01.html
 
 で、たとえば月曜の夕食に2000kcal食べちゃったとしたら、月曜の夕食時を起算で三日、つまり木曜の昼食までで4500-2000=2500kcalと考える。
 
 火曜朝食・昼食・夕食、水曜朝食・昼食・夕食、木曜朝食・夕食の合計8食で2500kcal。平均すれば1食312.5kcalにもなる。
 で、火・水・木のそれぞれ昼食をサブウェイのサンドイッチにする。これで300kcalは可能。
 また、それぞれの朝食を200kcalに抑える。ウィダーゼリーとかコンビニのお粥とか、方法はどれでもいい。
 3回分でそれぞれ112.5kcalを浮かせれば余剰合計は337.5kcal。
 
 これを2で割って火曜と水曜の夕食に割り振れば
 基本312.5kcal+割り振り(337.5÷2=)168.7kcal=481.2kcal。
 
 480kcalあれば、ファミレスでもいちおう食事が出来る。
 http://www.ne.jp/asahi/japan/fbc/diet/calorie/famires.htm
 でも自宅で鍋を作ったら、かなり食べられるよ。
 
 
 ルールを絶対に守るではなく、「自分にとって守りやすいルールをいかに維持するか」だけを考えればいいだけなんだよね。
 
 僕は意思が人一倍弱いし、運動も大嫌いだ。
 でも、頭を働かせることはあまり苦にならない。
 たぶん、そういう男性って多いんじゃないのかな?
 「一日1500kcalダイエット」、ぜひ試してみてください。
 出版社のみなさん、新書の企画にいかがでしょうか?(笑)

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デビュー戦、終了

 いや~、勉強になりました。

 自分としては60%の出来だったのが悔しいけど、「完全にアウェイの環境でやりたい」という初期目標は達成しました。
 カフェのスタッフにも「あんなに盛り上がったのは初めて」と言ってもらえたし、回収されたアンケートを見ても充分に「面白い」とは言ってもらえたんだけどね。
 でも自分で期待していた「最高の出来」にはまだまだ遠かったな~。
 
 マイナス40%というのは、「やっぱりあがっちゃったよ=20%」「新しいものを求めているわけではない『伝統芸能としての落語』が好きな人たちに強引に納得させる強引さが出せなかった=20%」かな。
 僕が狙うべきは「面白いことが好きな普通の人」であって、「落語オタク」じゃないんだろうね。
 でも、僕定義の落語をやるのが仕事だから、あんまり悩みはないです。

 ちょっと驚いたのは、白鳥師匠との対談で「林家いっ平を知らない」というボケを本気にした人がいたこと。舞台上では白鳥師匠と「そっちのボケでいきますか?」「はい、突っ込んでください」と目線でやり取りしたので、お互いにこれが「ボケ」というのは了解済み。お客さんにもちゃんとウケたので、対談後半はそっちへ展開させた。
 ところが、「いっ平さんまで知らないなんて。もっと勉強してください」とか後で言う人がいてビックリ。いや~、落語ファンって「粋人」というイメージあるんだけど、中にはこんな無粋な人もいるんだよね~。思わず白鳥師匠とも苦笑いでした。

 来月の勉強会では、たぶん自分なりの100%が出せると思います。

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2006年11月21日 (火)

91キロ台突入

 一日の摂取カロリーを1500kcalにするだけ、というシンプルなダイエット法に挑戦して、今日でちょうど80日目。
 体重はついに91キロ台に突入した。

スタート・・・107.0キロ
5日目・・・104.6キロ
10日目・・・103.1キロ
15日目・・・101.5キロ
20日目・・・101.4キロ
25日目・・・100.9キロ
30日目・・・99.9キロ
35日目・・・99.1キロ
40日目・・・97.4キロ
45日目・・・98.5キロ
50日目・・・96.0キロ
55日目・・・95.0キロ
60日目・・・94.7キロ
65日目・・・94.5キロ
70日目・・・94.0キロ
75日目・・・92.5キロ
80日目・・・91.7キロ

 最初の7日間は、100キロオーバーの人がダイエットに挑戦したらみんな経験する「スーパー減量期間」。こんなペースで痩せたら死にます(笑)
 今のところ、毎週1キロは堅実に維持。
 ああ、こりゃ本が書けるなぁ。

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2006年11月20日 (月)

よし、おっけーだ

 ついさっき、自分の中でOKサインが出ました。
 明日、やれそうです。

 いつの間にか「落語なんだから、お客さんを笑わせなければいけない」という思い込みにハマっていたよ。
 莫迦だねぇ、笑わせるとか言い出したら本職の連中に勝てるわけないんだから。

 僕が狙う隙間は「興味深い話」という一点だけ。かなり複雑で普通に聞いたら面白くないような「高度な世間話」を、へぇと感心して聞いてしまう状態に仕上げられたら上等。
 それが僕の落語であり、今の落語に足りなくて、僕が貢献できる要素なんだよな。

 あとは、口角を上げることぐらいかな?
 芸とか抽象的なこと考えちゃダメ。できるだけ「ノーマルな表情」を上機嫌な顔にセッティングすること。
 無意識化された技術を「芸」って言うんだよな、きっと。

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2006年11月19日 (日)

すごいものを見た

 気分転換に「トゥモローワールド」見てきましたよ。
 いや~、映画館で見てよかった!

 映画自身はね~、面白いかと聞かれると「人によるんじゃないの?カップルとかにはオススメしません」と答えるけど。
 でも「近未来SF」と考えたら、すっごい名作。

 アップルシードの(もちろん原作ね)デュナンとブレアリオスがオリンポスに行く前というか、荒廃したニューヨークに生物兵器捕獲しに行くあたりというか、そんな雰囲気。
 もうね、「世界の終末」というのをロケに行って撮ってきた様な迫力!イギリス人すごい!
 イギリス人ってサンダーバードみたいな人形劇でも、「2001年~」みたいな宇宙ものでも、今回の「トゥモローワールド」みたいな近未来でも、本当に異世界を作るのが上手いねぇ。その辺は原始時代でも他の星でもアメリカにしてしまうようなハリウッドとは逆で面白い。

 とりあえず映像というか見せ方すごいから、映像関係者は絶対に行ったほうがいいですよ。「北斗の拳」とか「ブレードランナー」とかが泣きながら逃げる後姿が見えるようだ。

 あ、でもくれぐれもカップルではいかないようにね。

 「嫌われ松子の一生」が、女が人生を考える映画だとすれば、
 「トゥモローワールド」は、男が終末を受け止める映画かもね。

 もちろん、終末なんて受け止めても人生な~んの役にも立たないんだけど(笑)

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2006年11月17日 (金)

「落語2.0」試論 承前

 おとつい、月例行事で「創」誌連載のため、渋谷で唐沢俊一さんと対談した。
 この連載対談、いちおうテーマは最近のオタク事件に合わせて、というお約束になっている。本当だったら「松本vs槇原」とかそういうテーマを選ぶべきなんだろうけど、せっかく唐沢さんに会うんだから、もっと個人的に気になる話をしなくっちゃ!と、むりくりに「じゃあ落語で!」と強引にお願いした。

 唐沢さんに「落語をやる」と相談(でもないか、結論だもんなぁ)したのは先月の同じ対談の場。そのときは「それは面白い。おやんなさい」という調子だったけど、今月は「で岡田さん、なんで落語なの?」と聞き返された。
 おそらくこの一ヶ月の僕の日記を見て「オヤ、どうもこいつは本気、というより狂ってるぞ」と思われたに違いない。

 僕はつっかえながらも、唐沢さんに伝えようとした。いっけんブームに見える落語界は、実は10年前から同じ穴に入っていて抜け出せないこと。落語を変えようと思っていること。新作や古典など、そういう「架空のお話」という枷をとっぱらって、唐沢さんや僕のやってる講義や講演をそのまんま「和服に座布団」というスタイルに持ち込みたいと思っていること。
 唐沢さんには、紙芝居や講釈を次の世代へと伝えたい、という想いがあるのは知っていたので、実は反対される事を予想していた。もともと立川談志のところに出入りしていた人だし、僕の考えている「徒弟制度不必要論(不要論にあらず!)」にはとても賛同してくれるとは思っていなかったからだ。
 しかし唐沢さんは即座に「岡田さんが正しい」とスッパリ切り込んできた。

 「落語の諸問題は、すでに内部の者があーだこーだ言ってどうとかなる段階をとうにすぎている。あなたのような部外者が引っ掻き回さないとダメだろう」
 正確な言葉ではないけど、そう言ってくれてかなりスッキリした。と同時に聞きたくなった。
 「唐沢さんの文芸サバイバル塾、あの内容をそのまんま和服に座布団というスタイルでやったら、それは僕が考える現代の落語なんです。落語、やりませんか?」

 話はそのまま横道にそれて返答は聞けなかったけど、僕は本気でそう思っている。
 ためになる話、教養のある話。それが落語であってなにがいけないのだろうか?
 「客は笑いに来ている」、そのとおりだ。でも観客は「ためになる話」だって笑う。「笑うためにはバカバカしい話でないと」というのも、ずいぶんと笑いを馬鹿にした考えではないか。

 (長いので、先はいずれ)

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2006年11月16日 (木)

コスプレみたいだよ

 もうみんなウンザリしている落語報告ですよ!(笑)

 昨日、ようやっと舞台着一式の着用に成功しました。ああ、こう書いてるとまるで兵装の試作品の話みたい。ただの和服なんですけどね、未経験の僕にはもう本当にハードル高かったです。

 朝、まず一人で長じゅばんを着る練習してたらバイトM君が奇異な目で見るし・・・。けっきょく、撮影に来た橋上Pに着付け手伝ってもらうはめになりました。あ~情けない。
 足袋を履いて雪駄を履くのも生まれてはじめて。事務所の階段を降りるのも怖かったけど、井の頭線の踏み切りはさらに恐怖でした。
 だって、渡りはじめてからカンカン鳴り出して、一生懸命に歩いても、なんとか遮断機に頭殴られずにすむギリギリだったんですよ!
 上から下まで黒の紋付羽織であんなにセコセコ歩く姿は、我ながら「ペンギンみたい・・・」と思いました。

Photo_5 Photo_6 Photo_7  井の頭公園で橋上Pの撮影した写真がこれ。黒羽二重の生地は思ったよりずっとシワになりやすく、上手く肩の紋を写すことはできませんでした。腕組んでる写真で、両サイドにチラっと見えているのが「月にロケット」の紋です。
 背中の襟下(ここ、なんと言うのが正しいの?)に見えているのが「公転する月の干潮」の紋。小さすぎて見えないかな?
角帯の締めがダメダメなのは追求しないでください・・・

 というわけで正直、まったく着こなせていません。来週の火曜本番は、まるっきり七五三状態だと思います。
 30分ほど着ただけなのに、ふくらはぎとかヘンな位置が筋肉痛で、撮影後に着替えて大急ぎで渋谷までいってバーバラさんと打合せしたときにトマトジュースを飲んだけど、飲んだこと自体がどうしても思い出せなくてお店の人と言い合いになったぐらい疲労困憊してしまいました。
 
 なんとか来月の勉強会には、もうちょっと着こなせるようになりたいと思うけど・・・無理かなぁ。
 あ、「なんだかアヤしげなスピリチュアル・カウンセラーみたい」というツッコミは禁止ですから!

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吉祥亭満月の「落語勉強会」追加情報

 ああ、なんか表題が漢字だらけだ。「の」以外はすべて漢字だよ。俺って文章下手だなぁ。
 よく「威張ってる感じの文章」とか言われるけど違うんだよね。少ない文字数で多くの意味を伝えようとするから、バカみたいに漢字だらけになっちゃうだけ。実際の僕も、かなり「漢字が多そうなしゃべり方」をするんだけど、基本的にはニコニコして話す。でも短めの文章ではそういうニュアンスがあまり伝わらず・・・
 って待てまて!
 また長くなってるよ!「落語勉強会の追加情報」でしょ?
 まったくもう・・・
 
 まず、入場について。
 キャパ140人ほどの会場なんだけど、僕の予想では「なんとか50人来てくれたらいいなぁ」というぐらい。だってロフトプラスワンみたいにお店の固定客ついてるわけじゃないし、それに渋谷ですよ。オサレですよ。僕なんかただのデブのオタク、それも「元」オタキングですよ。
 50人来てくれたら上等じゃないですか。
 いやいや30人、いや15人ぐらいかも。
 ・・・本当にね、新人落語家の勉強会ってそんな感じなんですよ。
 おまけに僕はどこの流派や一門にも属してないから、いわゆる「古典芸能としての落語のみを愛している人たち」からは無視されるだろうし。現在、日本でフリーの落語家って僕以外には快楽亭ブラック師匠しかいないそうです。とほほ。
 
 ・・・とまぁ、かなり来客数に関してはリアルな読みをしているので、「予約なしの当日入場のみ」にしています。
 それでも次回のテレビブロス500回記念号のコラムでは告知したし、来週21日の三遊亭白鳥さん独演会でもチラシを配るので、ひょっとしてひょっとしたら万が一億が一、「問い合わせが多いために予約制にチェンジ!」という判断をJ-POPカフェさんが下すかもしれない。
 なので、お問い合わせに関しては、いちおう以下のコメントを付け足します。
 
 当日入場のみの予定ですが、問い合わせ多数の場合には予約を受ける場合もあります。 お問い合わせはJ-POPカフェ渋谷(03-5456-5767)まで。
※11月21日の会の後にはちょっとお安くチケットを販売しちゃうそうです。
 そこで買っちゃうのがオススメかも。

 追記:
 ある人から「21日は予約売り切れで無理だけど、12月19日の前売りが入手できるのなら、イベント終わった頃に行って買うのは可能ですか?」という質問が来ました。
 
 ナイス着眼点!
 それ、思いつかなかったよ!

 問い合わせてみたら「いちおうカフェなので、前売り買うだけでなくお茶程度、飲んでいってくれたらうれしい」と担当者は申してます。
 
 というわけで、来週火曜夜に渋谷へ出られる人は「そういう入手手段もあるんだ」とだけおぼえておいてください。

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2006年11月15日 (水)

大阪おたくの殿堂にてトークライブ!

 来週の木曜、大阪の「おたくの殿堂」にてトークライブが開催されます。
 詳しくはこちらへどうぞ→ http://www.otaden.com/

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岡田斗司夫×竹内義和 トークライブ!!+サイン会
2006年11月23日(木・祝) 4:30PM開場 5:00PM上映開始
オタクのカリスマの二人が、オタクについて語り合う!
第一部:業界裏話、第二部、オタクについての2部構成!
入場料3,000円(前売りは2,800円)
※トークライブ後、関連書籍をご購入いただいいた方を対象にサイン会があります。

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 というわけでイベントの告知なんですけど、いったい何を話すのやらまだ決まってません。とりあえず、先週のアメトークをベースにして「芸人とオタク趣味」の話とかが面白いかなぁ。
 値段がかなり張るイベントなので、それに見合うなりにお客さんに満足というか満腹感を持って帰ってもらうにはどうしたらいいのか、よ~く考えなくちゃね。

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ダイエットを成功させる方法

 9月1日・107キロからダイエットを開始して、早や74日目。
 ついに今朝の体重は92キロになった。

 11週足らずで15キロ落とすというのは、かなりヤバいけど、この6週間ずっと毎週1キロの割合で落ちているし、「一日1500kcalダイエット」はよっぽど僕の性格&体質に合ってるんだと思う。
 
 今回のダイエットの一番の功労者はサブウェイだな。
 吉祥寺の店舗はパンをトーストできるので、すっごく美味しい。サブウェイは店舗ごとに味の差が激しいので運がよかったなぁ。(渋谷東急本店近くのサブウェイは信じられないほど不味い)
 いろいろ試したけど、サブウェイクラブ+赤ワインビネガーソース、ダイエットペプシ、たま~にオーブンポテトSを半分というメニューが一番気に入ってる。これで合計390kcal。
 http://www.subway.co.jp/menu/index.html
 これ、高価なマイクロダイエットの「レトルト・弁当セット」よりもカロリー低いよ!

 食事も以前ほどは辛くなくなってきた。揚げ物とか焼鳥とか、一人前を食べるとあとで気持ち悪くなるのは悲しいけど痩せるためには便利。
 以前、ダイエットしていたときに買った服を久しぶりに袖を通したら着れたり、なんだかゴキゲンである。

 ダイエットはじめてからウツに入ったり、体重減ってもあんまり嬉しくなかったけど、今日はじめて「あ、痩せて嬉しいかも」と思った。
 それだけ。

 あ、先週吉祥寺にこんな店がオープンした。
 http://www.rcjapan.com/warabe/
 できるだけお昼はここ、またはサブウェイで食べるようにしてるのも正解かもね。

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2006年11月14日 (火)

落語勉強会のお知らせ

J-POP寄席・吉祥亭満月の勉強会
●日時:2006年12月19日 (火)
   18時開場
   19時開演
※カフェは17時~24時までオープンしておりますので、開演前、終演後にゴハンも食べられます。 満月も終演後はお茶など飲む予定なので、お付き合いくださればありがたいです。

●会場:J-POPカフェ渋谷 ”GARDEN”
 渋谷区宇田川町31-2渋谷ビーム7階
 http://www.j-popcafe.com

出演:
●吉祥亭満月(ゲスト・岡田斗司夫)
●値段:1500円 ワンドリンク付き
●全席フリー・予約なし
 当日入場のみの予定ですが、問い合わせ多数の場合には予約を受ける場合もあります。
 お問い合わせはJ-POPカフェ渋谷(03-5456-5767)まで。
 
●口上:「勉強会とは?」 by吉祥亭満月
 若手や駆け出しの落語家がよくやるイベントで、「まだ未完成な芸だけど、あえてお客さんの前で実演することによって勉強しよう」という会です。つまり「勉強する」のはお客様ではなく落語家自身なのですが、それでもお客様から金を取るというのが、とりあえず落語業界の素晴ら・・・いえいえ恐ろしいところであります。
 通常の落語の独演会や落語会の2500円~4500円という価格設定に比べて、勉強会というのは500円~1000円ほどの格安な料金に設定されています。
 今回は渋谷のドまん中という便利な場所で、かつ映像や音楽も使える設備のために少々割高になってしまいますが、このカフェでワンドリンク付きで1500円で2時間たっぷりというのは、自分で言うのもなんですけど、あの、ちょっとばかし実はかなりお得ではないかと思いますです。いや、ほんと。
 あ、お断りしなくてはいけないんですけど、僕は落語家としてはプロですが、芸はとてつもなく未熟なので、完成度は全然保証できません。とりあえず演ってみたけどグダグダで高座で絶句して泣きながら退場、という可能性もかなりアリです。これも新人落語家の勉強会ならではのお楽しみ、と割り切って、そのあたりのリスクなども踏まえて、ご来場いただけると幸いです。
 
●演目(勉強会ですので、当日に変更の可能性もあります)
 「落語マーケティング会議」
 「おたく七変化」
 「古典芸能・頑駄無(ガンダム)」

Photo_1

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2006年11月12日 (日)

ガンダム芸人(追記)

 こないだ書いた感想なんだけどね。
 いろんなブログで引用されたりしてるけど、ちょっとスタンスの差を感じているよ。ガンダムファンの人たちがガッカリしたのは「濃いガンダム番組」ではなかったからかもしれないけど、アメトークは違うでしょ?
 
 今回の件で言えば、僕は「ガンダム番組」としては見ていなかったし、期待もしていなかった。番組の作り手側も、当たり前だけど「芸人のトークバラエティ」として作っていたに決まってる。
 
 僕がいまいちだな、と思ったのは、あくまで「トーク番組として質」の部分。
 なので出演者がキャラの名前間違えたとか、そういう瑣末なディティールはかまわないんです。
 
 問題は、ガンダム芸人さんが「プロ(?)も驚くマニアックさ」を持っていないと話にならないんじゃないの?ということ。
 たとえば「芸人料理選手権」なら、くろうとはだしの料理の腕前を披露できないとダメでしょ? 家庭の主婦程度の料理を自慢げに披露されても「ふ~ん」と言うだけで、番組として、シャレとして成立しない。
 
 しかし、今回のガンダムトークでは、ただ単に「どれぐらい好きか」しか語らせていないし、内容もそのあたりどまり。土田の部屋に「ガンダムしかない」というヘンテコさに誰もつっこまないしね(笑) アニメが好きならガンダム以外もあるはずだけど、ガンダムしかない、というのは「美少女フィギュアしかない」というよりも異常だと思うぞ。
 
 出演者も「ガンダムを語ることによって観客や視聴者を面白がらせる」というレベルに達していない。それは「プロ顔負けの料理」ができてないのと同じく、「本物のオタクも引くほどの濃度」がないと、「さすが芸人さん」という笑いにつながらないんじゃないかなぁ。普通程度のオタク話に対して、蛍原が無理やりに突っ込むのは、やはり無理があるよね。
 ぶっちゃけて言うと、観客席の女の子たちが引いていた程度は「自分や友達の彼氏にいる程度のトークレベル」だと思いました。もっと会場の女の子が引くほどの濃さを見せつけって、そのうえで「お前キモチワルイ!」というツッコミで笑いを取らないと。
 なのにガンダム芸人さん、普通すぎ。

 最近のアメトークは、そういう芸人のフレームアップが過剰すぎて、それをツッコミや演出だけで盛り上げようとしているところがちょっといただけないです。
 
 それに比べて昨日のやりすぎコージーが期待できそうなのは、スタッフが「売れてなくても、数字を持ってなくても面白い奴を出そう」という姿勢が見えるから。
 あと、どうしようもなく感じてしまうのは、雨上がりとWコージの「トーク差配力」の差。これはもう、今はまだしかたないよ。年季が違うんだから。

 せっかくゴールデンに移動したんだから、しんどいけど今が踏ん張りどころだと思う。 スタッフも手を抜かず支えてあげてほしいなぁ。
 頑張れ、アメトーク!
 

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2006年11月10日 (金)

ガンダム芸人特集、ダメだなぁ

 いまアメトーク見てるけど、ガンダム芸人特集が思った以上に「普通」。
 ガンダムトークはいままでいろんな人が語ったありとあらゆるバリエーション見てるから、芸人さんが語っても「この程度かぁ」とガッカリしちゃう。
 逆にその芸人の底が見えちゃって興ざめ。「面白い人だと思っていたけど、オタクに換算したら、わりとどこにでもいるレベルだよなぁ」と思いました。
 とても初段すらあげられませんです。ハイ。

追伸: あ、いま出てるアムロの真似芸人はちょっと面白いかも!

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2006年11月 9日 (木)

コメントとトラックバック設定変更

 せっかくコメントつけてもらっても時間がなくて返せないので、コメント設定は「不可」にしました。書いてくれた人、ごめんなさい。
 質問とかあれば、メールで聞いてくれれば、まとめて日記内で答えますので、気軽にメールくださいね。

 トラックバックはチェックなしの無制限にしました。ご自由にどうぞ。ただし、業者や悪意のあるページやアダルトサイトへの誘導などはときどきまとめて削除しますのであしからず。

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正座椅子が来たよ

 日曜に通販で注文した正座椅子が来た。正座椅子というのは、正座しても脚がしびれないようにお尻の下にかませる折り畳みの小さな椅子のことで、もちろん、高座で使用するために買った。
 いやしくも高座に上がろうという落語家なら、どんな前座であっても正座ぐらいは平気なのかもしれないけど、僕には無理!「正座もできない奴はプロじゃない」という人もいるだろうけど、僕はお金を取るのでプロであることは間違いないし、正座できようが着物の着付けができようが、それよりなにより「噺が面白い」というほうが大事でしょうが。
 どっちかというと問題は、正座椅子を使っても10分程度で痺れてしまう根性ナシの僕の足、というあたりではないでしょうか?(笑)

 正座椅子以外にも高座に持ち込む予定のものはいろいろある。今のところ僕は見台と膝隠しを使う予定。見台というのは、上方落語で使う座卓で、膝隠しというのは足元を隠す小さな衝立のこと。その他、子拍子という鳴り物や竹製の扇子を皮で巻いた張り扇を使うのも上方の特徴。
 http://www.nikkei.co.jp/weekend/kat/20050304sy834000_04.html

 江戸落語に慣れている人は「扇子と手ぬぐいだけを持ち、高座の上には座布団一枚」というシンプルなスタイルに慣れているだろうけど、僕は上方風にやるつもり。
 いや、上方風というより邪道だなぁ。だって見台の上には他にエビアンと目覚まし時計とレジュメ置くつもりだもん(笑)
 
 あ、そうだ、いいこと思いついた!
 「座布団だけでやるのが江戸流」「見台や膝隠し使うのが上方流」、だったら、これでいいじゃん!
 「見台や膝隠しや時計やミネラルウォーターありで、おまけに高座でも正座しなくていいのが吉祥寺流」
 
 これなら正座椅子とか脚の痺れとか気にしなくてもいいし・・・
 あれ、お客さんが引いてる・・・
 まるで昨夜の談笑さん独演会の芝浜(改)みたいに引いてますよ!
 

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2006年11月 6日 (月)

「ガンダム講談」と考察

 先月16日(月)に大阪・ナンバまで「ガンダム講談」を見に行ってきた。
 
 僕が落語をやろうと思ったときに、まず最初に思ったのは「ガンダム落語は可能か?」ということだ。たぶん先達も多くいるだろうはずけど、いまだに「これが面白い!」という噂は聞かない。
 落語家でガンダムやウルトラマンやガメラが好きな人もいるけど、そういう人の「好き」という気持ちが、その人の落語に面白く反映されているかもよくわかんない。
 すっごく面白いオタク落語があれば、噂ぐらい聞こえてくると思うんだけど、少なくとも僕は今まで「面白いオタク系古典芸能」は知らなかった。
 
 僕が「落語をやろう」と決意したときに、「ではいずれ、僕はガンダム落語をやるのか?」と自問自答し、その疑問に答えるべくネットをいろいろ探して見つけたのが、講談師の極堂南半球氏だ。
  http://www.kcc.zaq.ne.jp/hankyu/

 見てみたい。
 素直にそう思った。
 ガンダムを自分の古典芸能と正面からぶつけようとしている。その姿勢が面白いと思ったからだ。
 大阪には毎週、金曜に行っている。正直、それ以外の日にまた行くのは体力的にもキツい。でも、それをおしても「行くべきだ」という予感がした。
 
 当日、早めに着いたのでNGK(なんばグランド花月)、つまり吉本興業の総本山で昼の部を見る。漫才や曲芸など、まず「普通の演芸のレベル」を頭に入れておこうと思ったからだ。ふうん、NGKを見るのは本当に久しぶりだけど、やっぱり面白い。
 これと「ガンダム講談」を比較するのは酷かもしれないが、とりあえずお金とって客に見せるからには、プロと比較されるのは当然。おまけに僕にしても、どっかに比較の基準を置いて見ないと、その面白さが「ガンダムが好きだから面白いのか、はたまた講談や舞台として面白いのか」がわからなくなる。
 
 とまぁ、上記のような視点で会場に入った。つまり、僕は「ファン」というよりも「分析・批評してみる」という視点でイベントに参加したことになる。なのでこれよりのレビューは、かなり「批評的な視点」であることに留意して読んで欲しい。
 
 会場のトリイホールは、かなり手狭な演芸場。狭い会場というのは、客席に一体感がおこりやすく沸きやすい。
 パイプ椅子が並ぶ客席に座りまわりを見渡すと、意外にも「普通の人」が多かった。てっきり「大きなお友達」つまり見てくれが僕と大同小異なお兄ちゃんたちがいっぱいと思っていたのに。カップルや女性客もかなりいる。
 
 開演。
 舞台に登場したのがミニスカの女の子。正直な話、絶世の美少女というよりは、山田花子を可愛くした感じなんだけど、なにより動きがキビキビしていて目を奪う。あ~、さすがに舞台に立つ人というのは違うな。
 ぺこりと頭を下げて、注意事項を暗誦する。
 「公演中の携帯電話の使用は、南極条約で禁止されています」とちょっと困った顔で語る。不安げだった客席が、いっせいに沸く。
 こういう場にくる客というのは、どうしても最初「さぁ、笑わせられるんだったら笑わせてみろよ」という距離を置いた態度になる。だからなにより最初に「笑ってもいいんだ」という雰囲気を作るのがなにより大切。
 この女の子の挨拶イッパツで会場の緊張感がゆるんで、なんだか楽しい雰囲気になってしまった。見ている僕もほっとする。
 
 こういうイベントで難しいのは、観客の「沸点差」だ。
 演者としては観客の「笑いの沸点」が低ければやりやすかろうと思うかもしれないけど、とんでもない。特にオタク系のイベントでは、会話の一部にガンダムのセリフが出ただけで笑うような、あまりに沸点の低い客は、他の観客を引かせてしまう。
 沸点の低い客、すなわち「すぐに笑う客」というのは場をしらけさせる。ファンの女の子にだけ受ける芸人をテレビで見たときの寒い感覚を思い出して欲しい。

 「いまのギャグ、俺はわかったよ!」とアピールのつもりで誰よりも早く大声で笑う客がときどきいる。あれほど演者や他の観客に嫌われている存在もない。悪気はないのはわかるし本人はイベントを充分に楽しんでいるだけなんだろうけど、まことに迷惑な存在である。
 
 ガンダム講談にはそこまで迷惑な人はいなかったけど、観客席は自然といくつかの沸点層に分かれはじめた。
 「第1層:ガンダムネタが出るたびに笑い出してしまう人たち」
 「第2層:ネタが笑いのツボにはまると笑う人たち」
 「第3層:第1層が笑うたびに『こんなレベルでは俺は笑わないぞ』と頑なになる人たち」
 理想を言えば、第1層の観客はゼロであることが望ましい。第1層がゼロであれば、第3層は発生しないからだ。
 逆に第3層の発生を抑えるには、早い目の段階で「ガンダムネタ」以外で一度観客全体から大うけを取る必要がある。オタクっぽいネタ以外で全体を笑わせてしまえば、沸点層はひとつにまとまり、「一体感のある観客」になる。
 これは別にガンダム講談だけの話ではなく、あらゆるライブに関して言えることだけど「客席の一体感」さえ作れれば、あとはなにやってもウケる。
 一番大事なのはネタや技術ではなく、「観客と演者の共犯感覚」なんだよね。
 
 さて、最初の演目は旭堂南半球による「ギレン演説;ガルマ国葬」。
 はじめて目にする南半球氏は小柄な男性で、声量も思ったよりずっと小さい。そのため観客としても耳を済ませて聞き入るしかなく、そのおかげでかなり緊張感のあるステージになった。
 しかし、クライマックスの「諸君の愛してくれたガルマは死んだ!なぜだ?」の問いかけに「受け」のパントマイムが入ると、客は吹きだして一気に緊張がとける。この「緊張感のコントロール」はかなり面白い。 ただし、演説自体が短いので、この「いいところ」が過ぎたらすぐに演説は終わってしまう。もうちょっと聞きたかったなぁ。
 
 で、次の演目は、最初に前説したミニスカ娘の歌謡ショー「恋のビームライフル」。歌も踊りも、とにかく客の目を引きつける魅力がある。「ガンダム講談」と銘打って歌謡ショーを楽しんでいいのか迷ってしまうけど、前後左右の客は200%楽しんでいた。
 意外といえば失礼かもしれないけど、歌やダンスが意味なく上手いのでなんだか納得されてしまった感じ。
 
 続いて本日のメイン1。「ガンダム講談;宇宙要塞ア・バオア・クーの戦い」。
 ドダイYS型の演台が組み立てられ、会場の期待は盛り上がる。演者の南半球氏があらわれ、「ジーク・ジオンの鬨の声」から一気にア・バオア・クーの空域を取り囲む状況を修羅場読み。「あがるところのメガ粒子砲の壁にてちょうど曇り陽のごとく相成り」のくだりで満場は息を呑む。
 講談といえば出てくる武者の戦装束、すなわち「黒革縅(おどし)の鎧がなんたら」みたいな全身上から下までのいでたちをざーっと語るのが勘所。
 これも名調子でアナベル・ガトーのゲルググ装備を「馬手にビームライフル、弓手にジャイアントバズーカ、腰に差すマシンガンを負い、兜にマシンガン用の角飾り金覆輪縁取りなしたる柳の刃のシールド背に負い小高きところに駒を乗り上げれば・・・どぎょ~~ん(モノアイの効果音の口真似)」で一気に笑いを取った。
 金覆輪縁取りなしたる、ってアンタそれは保元物語ですか?
 これはもう解説するより見てもらうがいいんだろうね。
 演者自身がTouTubeのアドレス書いてるから、気にせず紹介します。

http://www.youtube.com/watch?v=i1ywPFclLI4
↑『恋のビームライフル』動画

http://www.youtube.com/watch?v=6NCrQyikakg
↑『ガンダム講談 ア・バオア・クーの戦い』動画

 
 で、次が「ガンダム大喜利」。演目を見たときは「ええっ、なんかスベりそうでイヤだなぁ」と思っていたけど、終わった後で思い出したら、これが一番楽しかった。
 「こんなホワイトベースはイヤだ! どんなホワイトベース?」
 「左舷弾幕薄いよ!なにやってんの!? なにやってる?」
 いや~、こんなオタクネタであんなに笑えるとは、アニメファンやってて良かったなぁ。俺の人生は間違ってなかったよ、うん。
 
 続けてまた歌謡ショー「恋のジェットストリームアタック」。
 いや・・・バックダンサー3人が可愛いけど、とてつもなくヘタ!
 舞台に上がってきたときに顔を見合わせて照れ笑いしてるよ!
 素人さんですか!?
 もう客席もドキドキして「こいつら、絶対にシロウトや!」と突っ込みたいのを必死で我慢している。舞台の上も我慢、客席も我慢と、お互いに「早く終われ!」と強く念じた3分間だった。
 しかし、これがあんがい面白い。いままでずっと、なんだかんだ言って芸的には上手いのが続いたので、このとてつもなくヘタクソなダンスにも「意図」を感じさせれてしまったからだ。
 つまり、ここまでヘタクソということは、ジャイアン・コンサートみたいに『いかにヘタかを皆さんお楽しみください』と言われたような気がしてしまうのだ。
 
 唖然呆然のステージが終わって、次はコント「ジオン女子校」。
 もうガンダム講談もへったくれもないような出鱈目な構成であるけど、演者・南半球氏のやりたいこと、つまり「メインディッシュは講談でちゃんと締めるから、あとは好き勝手に楽しませる」というコンセプトが伝わってきたので、もう客席は安心して笑い転げている。
 女子高でザクの操縦法のコントで、ノリとしてはドリフっぽい、とでも説明すればいいのかな?かなりおバカな光景でした。
 
 中入り(休憩)のあと、はじまったのはド演歌「光る宇宙の深情け」。
 エルメスの被り物を頭に載せたドレス姿の艶っぽい姐さんが切々とララァの心情を謳いあげる。振り付けも意味なく色っぽく、歌も完全に演歌、それも石川さゆりの「津軽海峡冬景色」みたいな本格的な奴。
 バカだ。バカすぎて素晴らしい。
 
 ラストは講談「ジオン〇八連隊記~めちゃめちゃ頼もしいジオンの隊長~」。
 トリを締めるのにふさわしい大ネタで、本来の戦記もの講談、すなわち軍談の特徴である「輝ける時代を謳いあげることにより、現状を批判する」とか「報われず果てていった男たちへの愛惜」みたいな情念があふれていた。
 
 
 と、思い出すだけで楽しい1時間半だったけど、「惜しい!」と思った点もいくつもあった。
 
 まずメインの講談の極堂南半球氏。
 声量がやや不安で、声質に「艶」というか「もっと聞いていたい」という決め手に乏しい。僕はシロウトなので、これは生まれつきの肉体的気質の問題なのか、それとも純粋に練習量の問題なのかはわからない。
 コントや大喜利など、南半球氏の「ネタと構成力」は抜群であるのはわかった。だから、とにかく「聞き惚れる声」の開発を急いだほうがいいと思う。「声」をもっと魅力的にしたら、ギレンの演説は今よりずっと素晴らしく仕上がるよなぁ。
 
 ああ、でも偉そうに分析しても、落語家としての僕の「声」も、これはもう論外なんです、すいません。
 
 あと、演目ごとに入るナレーターの演目読み上げ、これが意味不明。
 「ガンダム講談、始まるよ~」と、か細い独特の節回しで言うんだけど、なんだかこれ聞いて困っちゃった。ひと言でいうと「素人劇団っぽい匂いがした」ということだろうか。(見ている関係者、ごめんね)
 後に「劇団ガンダム」の舞台DVD見せてもらったら、いつもこの女性が不思議な声でナレーターやってるのを知ったので、おそらくその「流れ」だと思うんだけど、そんなの初見の客や僕にはわかんない。そういう不思議な感じがイイんですよ!という人もいるとは思うけど、僕は「劇団っぽい」文化には属していないので、その面白さが理解できず、不安な気持ちになっちゃった。
 
 あと、自己紹介やパンフに書いてある演者の芸名。
 ガトー、アカハナ、ガンキャノン、シャアザク、ニイラ、ガルマ、ドズル、ミハル、ルールカ・・・
 あとで聞いたんだけど、共演していた劇団ガンダムの俳優さんたちはそれぞれ本家の劇団ではちゃんとした芸名があるそうだ。でも劇団ガンダムとして活動するときだけ「ガンダムネーム」というのを使うそうだけど・・・
 すいません、正直、イタいです・・・
 エレベーターで他のお客さんも「あれはちょっと」と言ってました。
 なんかそういうマイナーなお遊び、かえってジャマに感じてしまう。
 提供している芸はちゃんとしてるんだから、無理に遊ばなくてもいいよ。
 ちゃんと美味しい味を出すラーメン屋は、メニューにヘンなシャレ使わないでしょ?
 「トンコツのトンでもなく美味いら~めん」とかさ。
 
 
 最後にこれは僕自身の自問自答。
 ガンダム落語って、たぶんかなり難しい。
 「落語のパロディ」とか「ガンダムのパロディ」になっちゃう。
 ガンダムのセリフや世界観が出るだけで喜ぶ客層を相手にする、と決めてしまえばなんとか成立するかもしれないけど、僕には向いていない。
 それはつまり「古典落語をガンダム世界で展開する」ということであって、基本的には「古典落語を現代に通用するようにリメイクする」というアプローチと同じだからだ。そういうのは既存の落語家がやるべきことであって、吉祥亭満月の目指すべき「新しい話芸」ではない、と思う。
 
 なんか最近、落語の話ばっかりだね。
 では、今からまた練習します(笑)
 

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2006年11月 5日 (日)

「こたえてちょーだい!」出演

 明日月曜オンエアの「こたえてちょーだい!」に出演します。
 落語の告知は無理かもしれないけど、13キロ痩せた姿をお見せできますぜ。

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2006年11月 3日 (金)

初稽古

 書き下ろし本の第1章を書き上げた余韻もそのまま、落語の構成をまとめる。
 「ゲド戦記」をめぐる宮崎親子の悲喜劇なんだけど、前にイベントで話した時より新ネタがふたつみっつ。
 全部で25~30分かなぁ、と自分では読んでいた。

 で、今日の朝、やってみたわけです。初稽古。
 枕からはじめて、とりあえずラストまで全部、誰もいない部屋で。
 「まぁこんなもんかな?」と語り終わったら、なんと1時間5分!
 今回指示された前座の持ち時間は20~25分、最大でも30分が限度なのにね。

 これから半分以下に切らなきゃいけないけど、いったいどこから切ればいいんだろう? 原稿のときと同じで、とりあえず前から問答無用で切ってしまうのが正解なんだろうな。 
 夕方に再トライ。今度は27分に圧縮できた。
 でも早口言葉みたいで情緒ないなぁ。
 さらに切り詰めて緩急つけて、その上でなにより僕が楽しく話せなきゃ。
 「ああ、こんな面白い話はみんなに聞かせずにはいられない!」という姿勢こそが僕の持ち味なんだからね。

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