イモトも頑張ってるから、僕も頑張ろう
10月10日に文藝春秋から『レコーディング・ダイエット 決定版』という文庫が出る。
これは『いつまでもデブと思うなよ』を進化させた内容で、最新の成果「未来レコーディング」「カロリーグラフ」も取り入れた。おまけに文庫版で安く、携帯に便利。
同時発売で『レコーディング・ダイエット 決定版手帳』という専用メモ帳も書店に並ぶことが決まっている。
・・・と、これだけだったらマコトにめでたい、というだけなんだけど・・・
いま、まだ作業している。
終わらない!
昨夜届いたゲラの束が・・・
日曜も祝日も、お盆も関係ない。
プールや海や花火大会、もちろん遊園地とかに行かなくなって、もう何年だろう?
本を書くのは、好きな仕事なんだけど、この仕事の果てには何があるというのだろう?
ゲラ用紙にペンを走らせ、ポストイットを貼り、漢字の確認に電子辞書を叩き、合間に他の仕事の打合せやメールをこなす。
気がつくと手が止まって、ぼんやりとテレビを見ていた。
日テレのチャリティ24時間でイモトがマラソンしていた。
大学を出たばかりの女子が、放送局の都合、ウソだらけのチャリティー番組とはいえ、とんでもない距離を走らされている。
つかの間の休憩時間、慰問にあらわれた先輩芸人からの差し入れ、ハチミツレモンを大きく頬ばるイモト。
口に入れる寸前、先輩芸人が「旨いぞ」と言った。
イモトの目が一瞬、光る。サインを見逃さなかった。
先輩はコメントの誘導をしてくれたのだ。
いくら疲れてるからと言って、このシチュエーションで無言で頬ばってはいけない。かならず「口に入れた瞬間にリアクション」しなくてはいけない。
芸人としてちゃんとした訓練や実績のないイモトは、ひょっとしたら生本番中に無言で食べてしまったかも知れない。それを避けるための先輩からのサジェストに気づくイモト。
疲れ果てたこの瞬間にも、彼女に要求されている表情は「旨い!」「元気をもらった」「疲れが消える」だ。
カメラがイモトの表情を大写しにする。
ハチミツレモンを頬ばった瞬間、イモトは満面の笑みで「旨い!」と言った。
イモトはちゃんと仕事をして、「そんな表情」を作った。
僕はすぐにテレビを切った。
イモト、偉いなぁ。お前は仕事をしてるよ。
その仕事が意味あるのかどうか、それは知らない。
チャリティーとはなんなのか、僕には語る意志も言葉もない。
でもイモトは疲れ果てた体と気力を振り絞って、明るい顔を作って「仕事」していた。
・・・泣き言はやめて仕事しよう。
あんな女の子だって仕事してるんだ。
僕たちのような「他人様を笑わせてナンボ」「他人様の役に立ってナンボ」を商売にしている人間は、チャンスをもらって働くために生きている。
とりあえず、いま僕にできることは文春のゲラを出すこと。
岩波の事典の項目を出して、下書きの準備をすること。
筑摩の書き下ろし本、第三章を上げること。
週刊アスキーの次回ブロックを決めること。
大学の講義準備をすること
朝日新聞の人生相談に答えること。
来週の取材・収録・対談・インタビューの準備をして、公開時期(季節)に合わせた衣装を準備すること。
東京と大阪の「ひとり夜話」イベントの準備をすること。
年末コミケに当選した場合の同人誌準備を考えること。
イモトだって頑張ってるんだ。
僕ができなきゃ、恥ずかしいじゃないか。
最近のコメント